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「黒子のバスケ」
【黄瀬×笠松】

一緒にいる条件

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一緒にいる条件【黄瀬×笠松】



*** ***

勢いで書き始めた黄笠w
大好きです!!
でも、半分くらい笠松先輩出てきません(笑)
代わりに、森山先輩が出張ってますwww
多分、それだけで面白いと思うんだ♪

ともあれ、勢いの産物なので色々至らなくてスミマセン;

*** ***





無償の愛なんて考えた事も無かった。
それが在るとも思わなかったし、ましてや自分がそれを望むような人間だなんて想像するはずがない。
だから、黄瀬の後ろ姿を見て笠松は立ち尽くし、空っぽになった。


止まる思考と、震えが止まらない手が理解できずにいる。







────── 数刻前。



部活を終えて帰ろうとした笠松に、黄瀬はいつものように隣に並んで来た。
そしてふいに告げられた。

「先輩とはもう一緒にいない方がいいみたいッス…」

黄瀬は『スイマセン』と、泣いてるように笑った。
その表情(かお)が目に焼き付いて、一瞬何を言われたのか分からなかったが、笠松が黄瀬を呼び止めようとした時には既にその距離は遠くなっていた。


指先だけだった震えが全身にいきわたり、笠松はその場に膝から崩れ落ちた。

「なんだよ、それ……なんだってんだよっ!!」

悲しみか、悔しさか、それともその両方が混じり合っているのかも分からない感情に苛まれる。
黄瀬が離れて行った。
別れを告げられた。
そんな兆候なんて微塵も感じなかった。
部活でも、それ以外でもいつも気付けば隣にいて、無邪気に笑う笑顔はまだまだ幼さが残っていて、抱き締める腕の強さもキスの温もりも全部が当たり前にそこにあったのに…




無くなった ──────




次の日から黄瀬は笠松とあからさまに距離をとってきた。
部活では最低限の挨拶くらい。
練習や試合でもプレイそのものには然したる支障はない。
ただ、交す言葉が減り、触れ合う事はなくなった。
それだけのことだと言ってしまえばそれまでだが、どうしようもない違和感はすぐに他の部員にも伝わっていった。

「黄瀬、お前笠松と何かあったのか?」

部活後に部室で帰り支度をする黄瀬を呼び止めたのは森山だった。

「え…っと、なんもないッスけど…どうしてッスか?」
「アホか。なんもない訳ないだろ。お前ら最近変なのバレないつもりだったなら諦めとけ。極端に顔に出やすい笠松がいるんだ、お前がどんなに平静装っててもアイツにお前と同じクォリティ求めんのは無理な話だからな」
「ハハ、笠松先輩もエライ言われようッスね」
「誤魔化すなよ?…まぁ、ただの喧嘩って感じじゃないっぽいのは何となく分かるし、今んとこ二人ともプレイに支障が出るって事はないみたいだけどな。それはあくまでも『今は』ってだけだ。嫌でもお前らが変なのは分かっちまうんだ、どんなに隠されててもそういうのは尾を引くし、チームプレイにガタがくるのも時間の問題だろ」
「…敵わないッスね~森山先輩には。けど、本当に…全然…ただ、今まで俺がすげぇ笠松先輩に甘えてきてたのを痛感したっつーか…ちゃんとしようと思って…笠松先輩を避ける気とかもないし、挨拶とか…ちゃんとしてるし…返してくれてるし……ホント、ぜんぜん…なんでもないッス……」

森山はハァっと大きく溜息を吐くと、黄瀬の目許をぐいっと拭った。

「あのな、なんでもないとか言ってる奴が、なんでもない事でこんなもん出てこねぇんだよ、フツーは」

あ、と気付いた黄瀬は慌ててゴシゴシと零れた涙を拭った。
それを見て森山は再度溜息を吐くと、ゆっくりと腕を組み、お前ら揃って変なとこ頑固だからなと小さく笑った。

「いいから、話せ。なんでもいいから。そしたらちょっとは楽になるだろ?」
「森山先輩…」
「あのな、お前の先輩は笠松だけじゃねーんだよ。あいつじゃなくても出来る事はあると思うぞ?」
「森山先輩のそーゆーとこ、ホント敵わないッス」
「当たり前だ。だから今度、女の子紹介しろよ!」

どこまで本気で、どこまで冗談なのか、その真意は計り知れないが、黄瀬は『ハイッス』と答えると、渋りながらも確かめるように言葉を選び、重い口を開き始めた。

「俺、偶々見ちゃったんス…俺のファンっぽい子達が2、3人で笠松先輩の事…その、良く思ってないみたいな事話してて……聞いた感じじゃ何度も抗議っつーか、笠松先輩に文句言いに行ってるみたいだったし…その子達…先輩に嫌がらせしようとしてる話とか始めて、俺……っ!!」

グッと握り込まれた黄瀬の拳を森山は見逃すことなく、スッと瞳を細めた。

「お前の事だから、その子達にとっさに脅し掛けるような真似でもしたんだろ?」
「…っう……森山先輩、見てたんスか?」
「見てねぇけど、大体分かるっつの。…そんで、お前さんは、脅しときながらやり過ぎたかもとか、でも、笠松の事思ったら全然足りないとか色々考えちゃったんだろ?」
「…ホントに見てないんスよね?」
「アホか。俺がその場に居たら間違いなくお前に脅されたいたいけな女子を慰める!!」

あまりにも真顔で言う森山は普通に見たらイケメンだが、肝心の言ってる内容がそこに結び付かないのが残念だった。
黄瀬は聞かなかった振りをしながら言葉を続けた。

「別に、これが初めてって訳じゃないんスよ。中学の時もレギュラー取るまで色々仲間が言われてきたとか知ってるし、高校入ってからだって、笠松先輩だけじゃなくて、森山先輩も、小堀先輩も、早川先輩も、レギュラーやスタメンの先輩はなんか標的っつーか、敵視されてて、中でも笠松先輩はやっぱ…よく、一緒にいるし、キャプテンだし、目立つみたいで…情けないんスけど、多分、嫌がらせとかそういうの俺、把握し切れてないみたいで…俺、何やってんだろって思ったら……距離置くしかないって…」

もう黄瀬の頭は沈んだままだ。
握った拳は震えていた。

「まぁ…大体想像した通りっつーか、まんまだったけど、お前は顔はイイくせして頭悪いよな」

フッと顔を上げた黄瀬は不思議そうに森山を見やった。
顔が良いのと頭が良いのはそもそも別問題という突っ込みは、すぐさま森山が切り出したので、なんとなく後回しになった。

「お前のファンの子達が色々動いてんのは知ってる。俺もだけど、やっぱ笠松の所に集中してるのは間違いないかな。…けどな、黄瀬。お前は根本的なところからして間違ってるぞ」
「え……?」

言われた意味が分からず聞き返してしまったが、森山は不敵な笑みで黄瀬を見据えた。

「考えてもみろ、笠松は極度に女の子が苦手な男だっ!!!」
「…………」

ビシッと人差し指を差し向けられた。
森山のドヤ顔もキレイにスルー出来るくらいに黄瀬は絶句した。
確かに、笠松の女性恐怖症とも思えるくらい、女の子に対する免疫がなさ過ぎるのは良く知っている。
その反面、男には当然変な緊張もない。
だから、部活のメンバーを含め笠松の男友達は多く、笠松の持ち味でもある人間性から、その信頼も厚い。
黄瀬だけでなく、他の今はまだ1軍にすらなれない後輩にも常に気を配っている姿を黄瀬は隣でずっと見てきている。
それは、時折思わず嫉妬してしまう程だったが、黄瀬が少しでも不満を口にしたり、口を尖らせて拗ねてみせると、笠松は決まってぐーで黄瀬の頭をどつく。

「こまけぇ事でいちいち剝れんな!シバくぞっ!!」
「って、もうシバいてるじゃないッスかぁ~。大体、俺と居る時より先輩が優しい顔するからいけないんスよ」
「アホか!後輩の面倒見るのは俺の仕事だ。そもそも、……お前とは…その、し、仕事って訳じゃ…ねぇから……」

耳まで真っ赤にして、懸命に視線を逸らす仕草がたまらなく愛しい。

「先輩っ!!俺、愛されてるんスねっ!!!俺も笠松先輩大好きッス!!!!」
「っだぁ!!もぅ、ひっつくな!!ウゼェ!!!!!」

我慢なんて考えるより先に身体が動く。
黄瀬がギュッと抱き付くと、すぐさまゲシゲシと笠松の蹴りが降ってくる。
正直、痛い。
けれど、そんな事がどうでもいいと思えるくらい大好きなのだからしょうがない。
ほんの少し前まで当たり前のようにあった風景が懐かしくて、愛しくて、無性に恋しい。
怒鳴られても、殴られても笠松が黄瀬を想う気持ちは、黄瀬が笠松に寄せる気持ちと同じだと教えてくれた。
勿論、最初は笠松も戸惑っていたのを知っている。
それでも、本当に真剣に黄瀬の事を考えて、応えてくれた事が黄瀬にとって何よりも嬉しかった。

「森山先輩、やっぱダメッスよ。…笠松先輩がいくら女の子苦手でも、嫌がらせされるのにそういうの関係ないじゃないッスか」
「ん~?けど、あいつ、なんかされる前に女の子の前から逃げるくらいの重症だぞ?」
「近づかなくたって出来る事はいっぱいあるっすよ」
「そりゃまぁ…そうだけど」
「色々考えるより一番確実なのは俺が笠松先輩から離れる事なんス。そうすれば…──────」
「──────笠松を守れる…か?」

黄瀬は小さく頷いた。
笠松を守りたいという自己満足もあった。
それでも、好きな相手に迷惑を掛けるくらいなら身を引いた方が賢明なのは事実だ。
いつでも自分が笠松を守れる状況にあるとは限らないから、自分と一緒に居る事で黄瀬自信が笠松の枷になるような事はどうしても耐えられなかったのだ。

「黄瀬、お前それ笠松にちゃんと話したのか?」

ふるふると黄瀬は首を横に振った。

「だろうな。…多分それ聞いたら笠松にシバかれるくらいじゃすまないだろうしなぁ~。あいつの事分かったつもりでいるのかもしんないけど、案外ホントなんも分かってねぇのな、お前」
「どういう意味ッスか?」
「どうもこうもねーよ。笠松があんまりにも女子から逃げ回ってるのが目立ってきたからちょっとからかいついでに話聞こうとしたらあいつ、なんて言ってたと思う?」

思い出して森山はククッと笑った。








部活も殆どが終了時刻を迎え、静まり返る校舎内を黄瀬は全速力で駆けていた。

「クッソ、マジで自分の不甲斐なさにムカつくっ!!」

森山に挨拶してすぐ、黄瀬は部室を飛び出した。





「あいつ、なんて言ったと思う?」





続けられた言葉に黄瀬は眼を見開いた。
身体の奥から沸き上がってくる何とも形容し難い感情で、黄瀬は身体が震えた。

「行けよ」
「え?」
「笠松ならまだ帰って無いはずだから。部活終わった後、練習試合と合宿のメニューを監督と相談するって言ってたぞ」
「…けど、俺……」

尻尾の垂れた犬のように黄瀬は背を丸めて俯くと、森山が勢いよく黄瀬の背中をバシンと叩いた。

「つ!!ったいッス!何するんスか~!」
「いや、偶には俺もシバいてやろうかと思って」
「酷っ!!」
「うっさい。ったく、お前も笠松も要するに言葉が足りな過ぎんだよ。いいから、もう一回ちゃんと話してこい。ホラ、さっさと動けっ!」

森山が顎先で入口を指し、黄瀬を促した。
そして漸く黄瀬の脚が動き出す。

「森山先輩、色々ありがとうございますっ!」

ペコりと頭を下げる黄瀬に、森山はハイ、ハイと言って軽く手を振りながら黄瀬を送り出した。






「厄介なのは確かだけど、それなら『キセキの世代』を入れた時点でもう慣れたし、黄瀬と一緒に居るってことはそういうの全部覚悟して受け入れるのが当然だと思ってる。それに、こんなことでへこたれてたらアイツまた泣きそうだしな」
「ふーん。あんだけ毎日シバき倒してる割に、随分優しいのな」
「ん?あぁ…優しいとかはよく分かんねーけど、アイツとはバスケすんのも、バカやって騒ぐのもなんだかんだ言って全部悪くねぇって思ってる。アイツの面倒事背負ってやるくらいは別になんでもねぇよ」
「あっそ。黄瀬がそんなん聞いたら、それこそ泣いて喜ぶんじゃね?」
「バカ、言うなよ!…煩くなるだけだからっ!!」
「ハイ、ハイ」




部室から眺める黄瀬の背中はあっという間に小さくなった。
よくもまあ練習の後であれだけ走れるもんだと森山は関心すら覚えた。
笠松が真っ赤な顔して慌てふためく姿を思い返し、あ、と気付いた様に呟いた。

「そういや、黄瀬には言うなって言われてたんだっけ?…ま、いっか」

森山はふふんっと気持ち良さ気に空を仰ぎ、部室を後にした。
思いの外長居したが、それでもまぁいいかと思えるくらいには森山は上機嫌だった。

「後は、あいつら次第…ってとこかな」







黄瀬は走った。
ただひたすら笠松が居るだろう部屋を目指して、一目散に校内を駆けた。
部活の練習と自分に課した部活後のロードワークを含めた自主トレの後で、正直体中が軋む…が、そんな事を考えている余裕すら今の黄瀬には無かった。

「早く、早くあの人の所に行かなきゃっ!!」





駆け抜けて辿り着いた先に佇むのはひとつの扉。
監督とは途中ですれ違い、お約束の如く廊下を走るなと怒鳴られたが、そのまま此処へと走ってきた。
笠松に逢ったら話したい事しか頭になかった。
それですら全然内容がまとまらない…ただ、ただ、会いたくて、会いたくて、会いたくて……
脳裏に浮かぶ笠松の顔と声とが黄瀬の鼓動を速めていった。

「笠松先輩っ!!」

バシンッと勢いよく開けられた扉。
室内には驚いた様子で黄瀬を見つめる笠松の姿があった。

「黄瀬…?おまっ!…なんだ、うるせぇぞ、どうした?」

咄嗟に平静を装う笠松に構う事無く黄瀬は歩を進めた。

「おい!黄瀬っ!!聞いて……っ!!!!」

近づく黄瀬を制止するどころかそのまま抱き締められていた。
久し振りに触れ合う黄瀬は、変わらぬ香水の香りと、温もりを真っ先に笠松に与えてきた。
それが、あまりにも自分が知るものと変わりがなくて、自分が想像していたよりもずっと心地よくて安心してしまい、笠松の視界がどんどん滲んでいった。
驚くほど自然に黄瀬の背中に手を回していた。
自分よりも少し広いその背中を確かめるように抱き締めると、黄瀬の腕も力が強くなるのを感じた。

「先輩…っ」
「黄瀬?」

苦しいくらいにギュッと抱き締められ、自意識過剰かもしれないが、全身で離したくないと言われているようで頭がくらくらする。
別れを告げられたことすら忘れてしまいそうなくらいだ。
こんな思いにさせられて、もしまたこの温もりが遠のくというのだろうか、これが本当に最後なのだろうかと、笠松の脳裏には不安と憤りが込み上げてきた。
黄瀬の口から何を聞くのも怖くなっていた。

「…すいません。俺、やっぱ先輩の事離したくないッス。ずっと…ずっと俺のそばに居て欲しいッス!」
「黄瀬…お前……」
「自分でも勝手な事言ってるって分かってるッス。けど、それでも俺はアンタの事手放すのも、出来そうにないッス。俺と一緒に居たら色々面倒掛けるって分かってるけど、離れようとしたけど……先輩じゃないとダメなんス」

悲痛とも思える黄瀬の声は震えていた。

「好きなんスよ…どうしょうもないくらいに……笠松先輩が好きです…」
「黄瀬。…ったく、また泣いてんのか?」

ポンポンとあやすように笠松は黄瀬の背を叩き、嘆息した。
まるで大きな子供だ。
実際の所、まだ中学を出たばかりの子供である事は確かだが、それをいうなら笠松もまだまだ大人になり切れている地震などない。
それを差し引いても感情をぶつけてくる黄瀬は幼い子供のようで、ただ、笠松にとってそんな黄瀬は決して不快なものではなく、寧ろ虚勢を張らないありのままの姿は嬉しく、そして、どんなものよりも愛しいと思えた。
まっすぐで、不器用で、少し泣き虫な黄瀬をただの後輩以上に大切で愛しい。

「大丈夫だ、黄瀬。…俺だって…きっとお前とおんなじだから……」

静かにゆっくりと確かめるように告げた笠松の言葉は、すっと黄瀬の中に染み渡って行った。
『拒絶される』覚悟はあっても『受け入れられる』期待は元々無かった。
だから黄瀬にとっては笠松の返す反応の全てが怖かった。
最初に遠ざけたの自分からだった。
それだって、笠松から避けられるのが怖くて、いっそ自分からと思った事もあるからだ。
何を置いても大切だと気付いてしまった今、笠松から自分を否定されてしまったらどうしていいか分からない。
そんな先の事まで考えて行動できるほど『大人』じゃない。
黄瀬自身、そのくらいの事は自覚していた。
けれど、黄瀬の予想を反して笠松から返ってきたのは自分を受け入れてくれる言葉だった。
付き合い始めたのだって正直勢いで押し切ってしまった所が否めなくて、それでも笠松は許してくれているだけだと黄瀬は思っていた。
どんなに甘い言葉を囁いても、キスして、身体を繋げて果てたとしても、笠松から黄瀬に想いを告げられる事は無かった。
だから、黄瀬は不安でしかなかった。
今まで付き合ったり、自分に言い寄ってくる女の子とあまりに勝手が違って、自分の対応も全然スマートに行かなくて、いつ嫌われてもおかしくないとさえ思っていたのだ。
黄瀬から笠松にできる事は惜しみなく捧げた。
甘い言葉も、快楽を与える事も、全部。
けれど、返事が欲しいからではなくて、例え笠松が気に入らなくても、せめてその場を凌げる程度の許しを乞うための行為だった。
だから余計に驚いた。



気持ちは通じていたのだと────────────



「どうしよ…先輩、俺、嬉しいッス。訳分かんないくらいマジで嬉しいッス!」
「あっそ」

少しだけ身体を離した事で、二人はじっくりとお互いの顔を見やった。
目を赤くしたままの黄瀬は端正な顔をクシャクシャにして満面の笑みを浮かべると、笠松は耳まで真っ赤に染め上げて、そっと視線を下に逸らせた。

「ダメッスよ。ちゃんと俺の事見て…俺に先輩の顔見せて…」
「ばっ!!どうしてお前はそうやっていつも恥ずかしい事を!」
「そうッスかぁ?でも、嘘吐いて無いッスよ」
「…知ってるよ!」

小さく呟く笠松の様子に、黄瀬はフッと笑みを零すと、笠松の顔を両手で包み込み、ゆっくりと上へ向くよう促した。

「好きですよ。ホント、全部…先輩が好き…だから、今度は間違えたりしないように、先輩の顔いつでも見ていたいんス。先輩が、どんな時にどんな事思って、どんな顔してるか、俺はちゃんと判断できるようになりたいから…だから、俺が『好き』って言ってる時の先輩の顔よく見せて…?」
「アホか。こんな…俺の顔なんて見ても楽しい事ねぇぞ」
「分かってないッスね~」
「はぁ?……っ!!!」

笠松が反論するよりも早く、黄瀬に唇を塞がれていた。
咄嗟に訪れた口付けはとても懐かしく、温かさが心地よく、段々と深くなるそれに笠松は身を委ねていった。

「可愛いッスよ。全部欲しくなるくらいに…」
「…こんなとこで盛ってみろ。シバくぞ!!」

言うが早いか黄瀬がよろめくのが早いか、有無も言わさず…

「もうシバかれてるッス!」

笠松の蹴りが勢いよくボディに入った。

「うるせー!いつでもどこでも俺が流されるばかりだと思うなよ!」
「ん~…そんじゃ、TPOを守れば盛りまくってOKって事ッスね!」
「ちげーよ!バカタレ!!」
「兎も角、帰りましょ。俺ん家寄ってくれますよね?つーか、この流れで拒否とかそういうのは野暮ッスよ?」

黄瀬は自分と笠松の鞄を手に取るとニコッと微笑んだ。
どこまでも恥ずかしい奴だと思いながら、結局折れてしまう事を考えると、やっぱり黄瀬がいいのだと笠松は納得する。
向けられる笑顔も想いも全部、黄瀬だからいい。
そうやって素直に伝えたらきっと黄瀬も喜ぶだろうが、笠松の性格上、どうにもすぐにはできそうになかった。
スタスタと黄瀬の横を通り、教室の扉の前で立ち止まると黄瀬を振り返る。

「ホラ、行くぞ。……お前ん家」

ポツリと呟かれた一言に、黄瀬は眼を見開いた。
そして、次の瞬間にはキラキラと瞳を輝かせ満面の笑みで笠松に駆け寄った。
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